ぶらさがり許可(自家用有償運送許可)を検討してはいかが

介護タクシーを調べると良く耳にするぶらさがり許可

訪問介護事業所や障害者への居宅サービスを展開されている会社の方よりの問い合わせが非常に多い内容ではありますが、これから新規にて介護タクシーを開業したいとお考えの方からも「白ナンバーで開業できるの!?」と、とても興味を持たれている方が多い分野でもあります。

自家用有償運送許可。

通称、ぶらさがり許可と言われているものです。

このぶらさがり許可を受けることによって自家用車つまりは白ナンバーや黄色ナンバーのお車を利用しての旅客運送行為が可能となるというものです。

この「白ナンバーや黄色ナンバーでのタクシー」という概念を見たり聞いたりして、取れるなら取りたいとご相談やご依頼のお電話をいただくことが多いのですが、そんな簡単なことでもありません。

自家用車によるタクシーは白タクで違法ではないの??

町を走る一般的なタクシーも介護タクシーも同じ法令の下、許可を受けて運行をしております。介護タクシーは乗車させる旅客に限定を付していることから許可要件も緩和され、総量規制の対象ともなっておりません。(H30年7月現在)

しかしながら許可を受けた上で運行しなければならないと点は変わらず、これに反する場合には、処罰を受けることになります。

この許可を受けずにタクシー行為を行っている輩が時々問題となりますが、これが俗に言う白タクです。彼らは白ナンバーや黄色ナンバーの自家用車にてタクシーの許可を受けずに運賃を取って旅客を運行してしまっているのです。

今回のぶらさがり許可も白ナンバーや黄色ナンバーの自家用車によるタクシー行為ですから、一見すると違法行為にも感じます。

しかし、しっかりと許可を受けることができれば違法でも何でも無く、歴(れっき)としたタクシー行為が可能となるのです。

ぶらさがり許可を受けるにはどのようなことが必要なのか

ぶらさがり許可は道路運送法第78条第3号に定められる許可です。(この他に施行規則にて詳細を取り決めています。)

見た目上は違法である白タクと代り映えしませんが、許可を受けることで白ナンバーや黄色ナンバーでの運行をしても良いですよとお墨付きをいただくものです。

しかし、誰でもこの許可が受けられるとすれば、根本のタクシー許可の意味がありません。果たして、どういうことなのでしょうか。

実は前述の道路運送法の規定は自家用自動車による運送行為について定められた規定であり、この自家用車による運送行為については「止むを得ない事情があること」を前提としています。

近年多いのが過疎地による交通網が行き届いていない場合での運送行為や、日常における反復継続的な生活に支障がある方々を対象とした運送行為などが挙げられます。

今回のぶらさがり許可においては、訪問介護事業所等によるヘルパー員が行う介助行為の上で、公共による福祉を確保するための止むを得ない行為という位置付けにて許可を認めています。

つまりは、訪問介護従事者でなければ止むを得ない場合には該当しないことになるのです。

基本は訪問介護+介護タクシーを運営している法人が対象

訪問介護従事者(ヘルパー員)が存在しているということは法人として介護保険法に基づく訪問介護事業や、障害者総合支援法に基づく居宅サービス事業を運営しているということ。

これらの事業は株式会社や有限会社、合同会社などの法人格を有していなければ運営するための指定を受けることができませんから、必然的に個人ではなく法人ということになります。

このヘルパー員が日々の高齢者等への介助の際に、止む無く自分の自家用車に乗せて介助を行うことを想定しているのがぶらさがり許可です。

介護保険法や障害者総合支援法上においてもこれらの行為へのサービスとしての対価を認めておりますから、公共福祉の上では必要な行為であると考えられているようです。

しかし、人を乗せて走るという点では運送事業でありますから、タクシー事業者としての管理体制等々を構築していることを求められており、この考えは介護保険法、障害者総合支援法、道路運送法を管轄する行政庁も揃って同一の判断をしているようで、厳格に段階的な許可を求めています。

従って実務上では、介護保険法に基づく訪問介護事業所としての指定を受けている者、又は障害者総合支援法に基づく居宅サービス事業所としての指定を受けている者が、道路運送法に基づく介護タクシー許可を受けた場合において、その従事する訪問介護従事者(ヘルパー員)との労働契約の下、自家用自動車による運行が必要な場合に申請をすることで許可を受けることができるという流れとなります。

何やらややこしいなと感じる方は最低限「訪問介護事業」又は「障害居宅サービス事業」+「介護タクシー」がベースであることを覚えておくと良いかもしれません。

ぶらさがり許可を受けたいと考える際のチェックポイントまとめ

  • 訪問介護事業所もしくは障害者居宅サービス事業所の指定を受けている。
  • 介護タクシー許可を受けている。
  • 自家用車を使用して利用者を移送したいヘルパー員がいる。
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