ヘルパータクシー、自家用有償運送、ぶらさがり、福祉有償運送、呼び方は色々だけど
ここ2ヶ月。
何故か同じような内容のご相談、ご質問のお電話が相次いだので、記事にしてみます。
ホームページ等にて事務所の案内をしていると、時折、このような偏ったご相談が続くことがありますが、それだけお困りの方が多いってことですので、このサイトにて解決していただきましょう。
内容としては、白ナンバーや黄色ナンバーの車両を用いてヘルパータクシーとして運用したいと役所や専門家に問い合わせをしたところ、地域の協議会からOKが出なければ運用はできない旨を言われたというもの。
確かに内容としては間違っていないのですが、皆様が求められている内容とはちょっとズレている回答かもしれません。
今回は白ナンバーや黄色ナンバーでのタクシー(有償による運送)について説明してみたいと思います。
まずは抑えよう!白ナンバーや黄色ナンバーを運用するための制度
まずは知っておきたい白ナンバーや黄色ナンバーの車にて運送を行う手段。
皆様からご質問をいただく白ナンバーなどでの移送行為は大きく分けて2つに分けられます。
- 自家用有償運送許可(通称:ぶらさがり許可・ヘルパータクシーなど)
- 福祉有償運送登録
この2つのいずれかの許可ないし登録を受けることができれば、白や黄色の事業用ではないナンバーを付けた車両にて運行することが可能です。
それぞれどういったものなのでしょうか??
自家用有償運送は訪問介護事業所などを運営する運送事業者に認められた許可制度
一つ目は自家用有償運送許可というもの。
その名の通りではありますが、自家用車(白ナンバー車や黄色ナンバー車)を用いて有償(運賃を貰って)にて運送(タクシー)することができる許可です。
この許可制度は通称名で「ぶらさがり許可」と呼ばれることが多いもので、役所の方々もこの通称名にて話されていることを結構見かけますから、頻繁に使われている呼び名であると思います。
都道府県や市などから訪問介護事業所などの指定を受けている法人が、介護タクシー許可も取得した場合に、訪問介護などサービスと一体的に運用することを前提にお墨付きを得ることができるのがぶらさがり許可です。
ぶらさがり許可は許可申請をすることで審査を経て、受けることができますが、許可を得ることができれば法人所有の車両や、ヘルパーが個人的に所有している自家用車を登録し、利用者さんの移送行為を行うことができるようになります。
このように訪問介護事業所や、障害者をサポートする居宅サービス事業者が主に運営していることから業界では「ヘルパータクシー」などと呼ばれることも多いようです。
弊所宛てに「意味がわからないんだけど」とお電話をいただく際は、話を聞いてみると大抵のケースがこちらを取得するべき案件です。
介護タクシー許可の際に設定するケア運賃を超えない範囲にて利益を上げた運送行為ができることが特徴です。
福祉有償運送は過疎地など利益優先の運送行為が適さない場合に認められる登録制度
福祉有償運送は過疎地であったり、極端に交通手段が乏しかったりする場合において、地域の福祉協議会の承認を得た上で登録を行う制度です。
この福祉有償登録を受けることでぶらさがり許可と同様に白ナンバーや黄色ナンバーの自家用車にて運賃を取って運送行為を行うことができるようになります。
但し、あくまでも地域に貢献したという位置付けが強く、利益重視の運送行為を行うことはできません。
一般的に営利で運送行為を行う法人(タクシー会社など)の概ね半値以下程度での運賃収受となることが多く、これを超えると地域の福祉協議会などで振るい落とされることが多いようです。
また、こういった諸事情から参入する法人は非営利のもの(NPO法人、一般社団法人など)に限定されており、株式会社や有限会社、合同会社などの営利法人は福祉有償登録を受けることはできません。
法人に限らず地方自治体などが主体となった福祉有償運送も当然に認められており、弊所においても地方の町や村の担当者様よりご相談をいただく機会も少なくありません。
非常に特殊な内容の登録制度であることを抑えておきましょう。
自家用有償運送であれば協議会の決済は不要
最近、連チャンしたお問い合わせ内容として冒頭にも記載しましたが、自家用有償運送も地域の福祉協議会等の評議員さんのお墨付きを得ないと許可が取れないのではないかというものが多かったです。
しかし、そんなことはありません。
自家用有償運送は営利事業の一環として行う運送行為ですから、地域の協議会を通す必要なんて全くありません。
端的に申し上げれば介護タクシー許可と訪問介護事業所の指定の両方をお持ちの法人さんであれば、ぶらさがり許可の取得はできると思っていただいて良いのではないでしょうか。
一般論として白ナンバーや黄色ナンバーでのタクシー行為は違法
ネットで検索をすると、「白タク」なんて言葉が出てきます。
白タクとは白(黄色を含む)のナンバーを付けた車両にてタクシー行為をすることを指しますが、これは違法とされています。
考えてみれば当たり前です。
タクシーやバスなど運賃を受けて人を運ぶためには運送事業の許可が必要であり、事業用として登録され適切な任意保険に加入した車両でなければ運送行為をすることはできません。
こういった車両には緑ナンバーや黒ナンバー(通常のタクシーに黒ナンバーは無い)が付いているはずです。
では何故、ぶらさがり許可という制度があるのかと言えば、やはり訪問介護などのサービス提供を受けるに当たっての利用者目線での一種の規制緩和ではないかと考えます。
高齢者や障害を抱えた方々が、サービスの一環として移動する際に、わざわざタクシー会社を呼んでいるのではサービスに支障があるでしょうし、そもそも論として、一般的なタクシーの運転手さんでは移動の際の介助は難しいでしょう。
これではタクシーを利用するメリットが全くありません。
また、一時期、一般のタクシードライバーさんにとって負担とされる時期もあったとかで、このような制度が生まれたとも聞いたことがあります。
少々、話はそれましたが、あくまでも特例として認められている制度であることを良く理解し、会社や法人を管理する責任のある立場の方においては、安易な気持ちな従業者が生まれないよう、しっかりとした監視、管理は必要と考えます。
タクシーと同等の命を預かる商売ですから。
一種免許での運転はあくまで特例!大原則は二種免許を保有することが求められています
自家用有償運送については必ずしも二種運転免許を保有している者が運転しなくてはならないわけではありません。
これも利用者目線の規制緩和の一環かと思われますが、通常、タクシーを運転する者は二種免許が必要となることは有名な話です。
しかし、自家用車での有償運送行為を行うドライバーは一種免許でも「移送サービス講習」などを受講することを条件に運転者として認められているわけです。
制度ですからこれを絶対にダメと言うことはできませんし、違反でも何でもないのですが、時折、当たり前のように二種免許など取る必要無いと会社を管理する立場の方とは思えない発言をされる社長さんを見かけるようになりました。
これも特例とも言える自家用有償運送が長く認められてきた弊害かとも思いますが、安全な移送を考えるなら二種免許を取得した技術と知識がある者が運送行為を行うべきです。
あくまでも一種免許による運送は特例です。
是非とも二種免許取得を会社として目標としていただきたいものです。