そもそも、運行管理者ってナニ??
運行管理者とは、ドライバーの運行並びに勤務体制の管理や点呼、安全教育の実施のほか、運送事業者として安全に活動ができるための指示、指導を行う、いわば運送業の司令塔です。
旅客運送事業(バスやタクシー)、貨物運送事業(トラック)においてそれぞれの規定が設けられており、営業所毎に一定の登録台数を有する際に選任が必要となります。
介護タクシーは旅客運送事業に該当しますから、営業所毎の一定の登録台数を超える場合には例外なく運行管理者の選任が必要となります。
運行管理者になるためには、どうすれば良いのか
運行管理者として選任するための要件として、大きく分けて2つあります。
一つは運行管理者試験に合格すること、もう一つは、5年以上の運行管理に関する実務経験を有した上で、毎年、運行管理者講習(5年に最低1回は基礎講習)を受講していることが必要で、これらのいずれかを満たすことで選任が可能となります。(この記事を書いている平成30年6月現在では、貸切バスについての5年経験要件は廃止となっております。)
実務上では、運行管理者試験をパスされた方が資格保有者として運行管理者を務められているケースが大多数を占めているのが現状です。
いよいよ本題。介護タクシー事業に運行管理者は必要なのか?
もう既に勘の良い方であれば気付かれているかもしれません。
前述のとおり、介護タクシー事業においても一定の登録台数を超える場合には、運行管理者を選任しなくてはなりませんが、この「一定の登録台数」がポイントです。
一般的な法人タクシーやバス事業などにおいては、許可の要件として最低の登録台数が具体的に求められています。この最低登録台数をクリアさせようとすると、自動的に「一定の登録台数」を超えるため、表現としては「必ず」運行管理者を選任しなければならないとなります。
これに対し、介護タクシー許可においては最低の登録台数がありません。(当然ですが、実態は1台以上。)
従って、必ずしも一定の登録台数を超えるというわけではありませんので、この場合には運行管理者を選任する必要はありません。
ちなみに、介護タクシー事業における一定の登録台数は5台以上となります。5台以上の介護タクシー車両を登録することになる場合には、運行管理者を選任してください。
多くの介護タクシー事業者さんが最初は1台からのスタート
我々が介護タクシーの開業サポートを担当させていただく中で、介護タクシー許可を新規にて取得し、いきなり複数台の登録をされる方は稀です。
ご自宅を営業所として個人開業をされることは勿論のこと、会社として新規許可を受ける場合においても、ほとんどの方が1台からスタートされます。
従って、介護タクシーを新規にて開業したい場合の準備においては、余程のことが無い限り、運行管理者の資格を問われることはありません。
しかしながら、運行管理者の選任は不要と言えども、適切な運行管理体制を整えなくて良いわけではありません。
開業する際には、各種の法令を良くご理解いただき、適切な運行に努めていただくよう、我々からもお願いをさせていただいております。
尚、5台に満たない介護タクシー事業者さんにおいては、運行管理責任者を決めていただきます。資格などは問われませんが、行うことは運行管理者と同様と考えていただいて差し支えありません。
群馬県内及びその近郊にて起きた、いつかの悲惨な事故(これはバス事故でしたが)を繰り返さぬよう、運送事業者さんには良くご理解をいただきたいものです。