既存のリース契約車両を介護タクシーとして使用できるのか
既に法人や個人事業者としてビジネスを展開されている会社が介護タクシー許可を取得するに当たり、既に契約し使用を開始しているリース車両の介護タクシー化を希望されることがあります。
介護タクシー許可ではリース車両を使用する計画での許可取得を認めておりますから、このこと自体は問題になりません。
しかしながら、リース契約は歴とした契約ごとですから、時にそう簡単に行かないことが多いのも事実です。
今回は、これから新たな契約をするケースは除外し、既に契約を取り交わしているリース車両の介護タクシー化についての注意点について考えたいと思います。
介護タクシー許可申請時にはリース契約書等の書面添付が必須
現に使用を開始している車両であったとしても、許可申請の段階にて事業用として使用をする際のリース契約書などの書面を求められることになります。
既存の契約内容と全く変わることなく介護タクシー車両としての使用を承諾されている場合でも、これを証明する書面の添付は必須です。
しかしながら後述も致しますが、簡単には書面の発行を受けられないことがケースとして非常に多いです。
簡単に行くと過信しその結果、リース会社より書面が発行されるまでに数ヶ月を要したケースなどもあります。
発行されたからまだ良いものの、結果として発行されないケースも存在するわけですから、安易に考えずに早い段階にて担当者と詰めておくことが重要です。
一般的なリース車両のナンバー変更は通常、審査が伴う
現在のリース契約は、そのほとんどのケースにおいて「白(黄)ナンバー」を付けてのリース契約であるものと思います。
既に使用されている車両が白ナンバー(黄ナンバー)で福祉車両であることを考えると、その契約形態としては既存事業のデイサービスで用いる送迎車や、肢体不自由な家族や従業員などが利用する車両として契約を取り交わしている場合などが挙げられるでしょうか。
通常、白(黄)ナンバーは自家用車、緑(黒)ナンバーは事業用車と呼ばれ、そもそもの使用用途が変わってきます。
これにより年間走行距離や、事故のリスク、車両の劣化など様々な要素が契約の時点にて想定する内容と異なることになりますから、現状の契約を単に変更することは通常、難しく、改めて審査を伴うケースやそもそも変更を認めないケースも存在します。
実例として比較的容易に変更を承諾されたケースもありますから諦める必要は全くありませんが、簡単に進むケースは少ないものとして考え、通常の車両購入などとは異なり大幅な時間をお要することもあると覚えておいた方が良さそうです。
容易に承諾を受けられたケースでは本当に承諾されているのかをしっかりと疑って
前述のとおり、既存リース契約の契約変更は通常、簡単なものではありません。
しかし、リース会社の担当者に話をしたところ、いとも簡単に「OK」を貰えたなんて場合、良く疑ってください。
許可申請の段階で添付するリース内容がわかる書面(契約書など)では、担当者が自身の判断で見積もりをしただけの書面であっても会社から発行された書面であれば有効として取り扱われます。
そうなると、許可審査への影響が無かったとしても、いざ、車両を登録するとなった際の会社としての決裁が下りずに、結局、ナンバー変更ができないといったことも考えられます。
リースを受けている我々だけでなく、リース会社の担当者も甘く考えている場合もありますから、結構あっさりと話がまとまってしまった際には注意した方が良いでしょう。
また、自動車販売店などがリース会社との間に入って進めている場合にも要注意です。
リース契約で自動車販売店が間に入るケースはさらに要注意
介護タクシー事業は許認可事業ですから、通常の自家用車の取扱いとは異なります。
通常の自家用車の場合、車検以外には特段の制限がありませんから販売店の判断でスムーズに進むことがほとんどでしょうが、事業用の場合にはそうはいきません。
特に事業用車両についての経験の無い販売店、事業用車両について学ぶ意識の無い販売店では非常にリスクを伴います。
これらの店舗を介してリース契約を取り交わしているケースも少なくありません。
販売店任せにせずに良く内容を確認ください。
話し合いがどうにもまとまらない場合の対応策
既存の契約を維持したまま、内容だけを変更して使用したいと思っても、これがリース会社の判断のもと、断られてしまうケースも多いです。
リース会社も良く検討した上での判断でしょうから、これを覆すことは容易ではないでしょう。
それでも現在使用している車を使用したい場合にはどのような方法があるのでしょうか。
一度、リース契約を解除し改めて契約する
既存の契約を一度、解除し、改めて事業用車両としてのリース契約を取り交わす方法があります。
ただ、この方法、契約内容の変更を提案した時点で、逆に提案があることが一般的です。
契約変更はできませんが、改めて契約をし直しましょうと。
これもリース会社により取扱いは異なりますが、高額な違約金や清算金などの支払いデメリットが生じることが多いです。
また、中古車のリースを取り扱わないリース会社もあるようですから、この方法が使えないこともあるでしょう。
リース車両を買い上げ自社所有車両として許可申請
この方法ももともとのリース契約の内容により、大きく異なる部分もありますが、残存価格を支払って自社所有物としてしまう方法です。
多少、割高になることが多いようですが、新たな車両購入として取り扱うことができますから、資金が不足する場合でも金融機関等の融資を利用することができ、方法としては比較的通りやすい手段です。
まとめ!既存リース車両を介護タクシーとして使用するには事前確認が重要
どのような要件であっても、事前の調査や確認は必須です。
それでも、今回のテーマである既存リース車両の介護タクシー化を成功させるためには早い段階でのリース会社との調整が必要です。
契約変更ができるのか、新たに契約を取り交わさなくては行けないのか。
担当者レベルの話に惑わされず、しっかりと契約書に記載がされるのかを良く確認してください。
せっかく許可を受けることができても、ナンバーが登録できなければ事業スタートは不可能です。
また、介護タクシー事業に精通していない自動車販売店などを介している契約においては極めて注意が必要ですから、良くご検討ください。