要注意!ぶらさがり許可は管理がルーズになりやすい
自家用有償運送許可(ぶらさがり許可)を受けている場合においては、白ナンバーや黄色ナンバーであるとは言えど、運送行為を事業として行っていることを理解しておかなくてはなりません。そもそもぶらさがり許可がどのようなものであるのかさえ、あまり理解をされずに運営されている方々も多いように感じています。
ぶらさがり許可は、会社として受けた介護タクシー許可の条件の範囲において活動が認められる特殊なものです。許可を受けてから実際に運用するのがヘルパーさん個人のため、管理の全てを任せっきりとなってしまい、現状をあまり理解できていない経営者さんも多いのではないでしょうか。
既にぶらさがり許可を受けている方は勿論ですが、これから許可を受けて運営していくためにはどういった点に理解が必要なのかを是非、再確認してみてください。
ぶらさがり許可の管理において覚えておきたいこと
- 自家用有償運送許可はヘルパー個人に出ている許可であって会社や自動車に対する許可ではない
- ぶらさがり許可車両を運行するためには自動車運転二種免許の所有が原則
- 介護タクシー許可と違って自家用有償運送許可には有効期限がある
- 営業所毎の運行管理体制にはぶらさがり許可車両も含まれる
自家用有償運送許可はヘルパーさんに対して出されている許可
介護タクシー許可を受けている会社でないとぶらさがり許可は取得ができないなど一定のルールがあることから、会社としてぶらさがり許可を取ったという感覚の方が大多数のようです。
事実、我々が顧問としてサポートをさせていただく会社さんの中でも「ヘルパーが増えたから変更しといてっ!」的なノリでご連絡をいただくことがありますが、ヘルパーが増えた=ドライバーが増えているわけで、変更手続きではなく新規許可案件となります。
これはぶらさがり許可自体が介護タクシー事業者との委託契約の下、訪問介護員等として活動するヘルパーに対して許可を与えているものであって、会社や使用している車に対して許可が出されるわけではないからなのです。
このことから注意すべき点としては、新たに加わったヘルパー員については新規での許可申請が必要となり、入社後すぐにはぶらさがり車両における運送行為はできません。
ぶらさがり車両が許可を受けているものと勘違いして、入社後すぐのヘルパーを運転者として有償運送をしてしまっているケースが多いようです。万一の事故などで露呈して大事になることもあるようですから、くれぐれも注意してください。
もっとも運送行為ができないだけであって、使用予定の自家用車を利用して利用者宅などへの訪問は全く問題ありません。
ぶらさがり車両にて運送行為を行う場合にも原則は二種免許所有者による運行
介護タクシーとしての登録車両(緑ナンバーや黒ナンバー)のみならず、ぶらさがり車両においても旅客を乗せることでタクシー車両となるわけですから、大原則としては自動車運転二種免許を所有したドライバー(ヘルパー)が運行する必要があります。
この文面を見て「えっ?」と思われる方も多いかもしれませんが、大原則は変わりません。
しかしながら、皆様も良くご存じの通り、自家用車によるタクシーにおいては自動車運転一種免許でもドライバーとなることができます。但し、あくまでもこれは例外なんですね。
昨今ではこの例外が当たり前のようになっていて、ほとんどのヘルパーさんが二種免許を所有していないし、取得する努力や活動もされていないのが現状です。
ただ、一種免許があればそれだけで全く問題ないかというとそういうわけでもなく、この場合には国の指定機関において開催される「移送サービス運転協力者講習」を受講することとされております。
要は一種免許しかない方は移送サービス運転協力者講習を受講して運転免許+受講済証で運転してOKよと言っているわけです。
実務面においては既に移送サービス運転協力者講習を受講済の方か、受講する計画が具体的に存在している方に対して許可申請を認めています。
ぶらさがり車両を運転する計画のある方は早めに受講しておくことが良いでしょう。また、訪問介護従事者に受講をさせていない会社があるのであれば、それは違反行為にも繋がりかねませんから会社の管理体制としてすぐにでも受講させるよう手配をしてください。
ちなみに各都道府県に国の指定機関は存在しますが、その多くが年1回~2回程度の開催です。機関によっては数年に1回なんてところもあるくらいです。営業する地域以外の場所での受講も有効ですから、とにかく早くに受講をしておきましょう。
ぶらさがり許可には有効期間があるから注意
介護タクシー許可自体には更新制度がありませんから、有効期間もありません。一度、取得してしまえば基本的には永年使える許可です。
しかし、ぶらさがり許可については最長で2年の有効期限が定められているから注意なんです。
言うまでもありませんが、有効期限が切れてしまっているのに白や黄色のナンバーで運行していると勿論、違法。しかも、運送関連法令への抵触となるので取消や再取得にも時間を要するなど大きなペナルティーを受けることにもなりかねません。
許可を受けた際に発行される許可書にはしっかりと有効期限が書かれていますから、確実に管理されることをお勧め致します。許可を受けているヘルパーが有効期限を超えて活躍される場合にはしっかりと更新手続きを取るようにしてください。
また、全てのヘルパーが同時に許可を受けた場合には、有効期限が同一となりますからまとめての管理で問題はないのですが、入社のタイミング毎に許可申請を行い。それぞれ許可を受けている場合ですと有効期限がバラバラに付されることになります。有効期間がバラバラとなると管理もとても大変です。
この場合には、有効期限を調整して許可を受ける方法もありますから、一番管理がしやすい方法にて許可を取得されてはいかがでしょうか。
我々のサポートをご利用いただいた会社さんについては、これらの管理も含めて対応をさせていただいておりますから、あわせてご検討ください。
運行管理者の配置!?営業所毎の保有台数にはぶらさがり車両も含まれる
介護タクシー許可において営業所毎の保有台数が5台を超える場合には運行管理者が必要となります。
運行管理者は国家試験をパスした運行管理のプロフェッショナルであって資格を取得することは容易ではありません。
保有台数が5台を超える場合には資格保有者を確保した上で選任の手続きなども取らなくてはなりませんから、我々が知っている限りでは介護タクシー事業者さんのほとんどが運行管理者の選任を必要としない範囲にて運営をされています。
この営業所毎の保有台数の考え方ですが、緑や黒の事業用ナンバーを付けた介護タクシーに加えて、白や黄色のナンバーを付けた自家用車(ぶらさがり許可車両)も含まれます。
従って、介護タクシー+ぶらさがり車両の合計数が5台を超える場合には運行管理者の選任が必要となるわけです。
ヘルパーさんが多い会社さんなどでは多くの車両を登録して使用ができるようにしたいと考えられているようですから、不可能ではないもののこれらのルールを知っておいていただき、運用していただければと思います。