介護タクシーのタクシーメーター

通常、タクシーというとタクシーメーターが付いていて、乗車の際に運転手さんがメーターのボタンを押して、動き出すとドンドンと数字が上がっていくものをイメージされる方が多いかと思います。

乗っている側の気持ちになると、いつメーターが上がるんだろうなんて、なんとなくヒヤヒヤしてしまいますよね。バスなどと違ってタクシーという乗り物の大きな特徴ですから、印象は強いはずです。

しかしながら、介護タクシーにおいてはタクシーメーターの設置は義務というわけではありません。介護タクシーはタクシーでありながら、タクシーメーターを付けずに走っている車両も存在するのです。

タクシーメーターを付けない場合の運賃はどうなるのか

タクシーメーターが付いていない車両があるとなると、どうやって運賃を取るのかという問題が出てくるように思われます。

実は介護タクシーを運営するする際には、介護タクシーを営業しても良いですよという許可(いわゆる介護タクシー許可)とは別に、お客様より収受する運賃においても認可制度が取られており、運賃認可というものを受けなくてはなりません。

この運賃認可制度の運賃の中身は大きく分けて2つ。
距離制運賃と時間制運賃です。

この内の距離制運賃がタクシーメーターを利用してお客様より運賃を収受する際の設定となります。

タクシーメーターで収受するのは距離制運賃

乗車の際にタクシーメーターのボタンを押して、進むにつれてメーターが上がっていく一般的な運賃。この運賃形態を用いて、乗車された方より運賃をいただきたいとお考えの方については、タクシーメーターを取り付け、距離制運賃の認可を受けていただく必要があります。

これに対し、距離制運賃の収受は考えていない場合や、そもそもの想定する運送形態にそぐわない場合などにおいては、無理してタクシーメーターを設置する必要はありません。

あくまでも介護タクシーを運営する上で、必要と考える事業者さんだけが設置をすれば良いこととされております。

タクシーメーターを付けるか悩んだら

介護タクシーの開業サポートをしていると、タクシーメーターを付けた方が良いかどうかと質問を受けることが多くあります。ただ、これに関しては、どのような利用者を想定しているのかなどによって変わってくるので、こうしてくださいといった決定打は特には無いのが正直なところです。

「サポートしてくれるっていうから相談してんのによぉ」と言われかねない回答ですが、こういったご質問をされる方の大勢は、まだ、具体的にどのような方に利用していただけるのかがハッキリしていない方々です。

例えば、病院間の転院を専門に介護タクシーを開業されたいといヴィジョンをお持ちの方が開業されるのであれば、そのほとんどが長距離であり、距離制運賃は見合わないのかもしれません。

また、既に介護事業所などを運営されており介護保険適用型タクシーとしての運行がメインとなる場合においても、タクシーメーターを付けないという選択肢はアリと考えます。

しかしながら、こういった具体的な想定がなされていない場合や、まだまだ状況が不透明と言った場合には、様々な運行形態にも対応ができるよう、タクシーメーターの設置をされた方が良いのではないかとお勧めしているのが現状です。

タクシーメーターを導入するに当たって知っておきたいこと

いざ、タクシーメーターを設置するぞ!と決まっても、知らずに導入してしまったがために、ちょっとした後悔を招くのも面白くありません。

そこで、ザックリと部分的にはなりますが、知っておいた方が良いのではないかという部分をピックアップしてみます。

タクシーメーターにかかる費用と検定

当たり前のことではありますが、タクシーメーターを設置するとなるとメーター購入費用などお金がかかります。また、購入したメーターは専門の業者さんにて取り付けなどの作業をしていただかなくてはなりませんので、設置費用もかかります。

メーカーにより金額の差は多少ありますが、新品のタクシーメーターを導入する場合には、メーター設置、設定などの費用の総額にて12万円から15万円くらいになることが多いかと考えます。一度、購入し設置をしてしまえばタクシーメーターそのものは長く使えることが多いですから、長い目で見ればそこまで大きな負担ではないかもしれません。

ただ、意外と知られていないのがメーターの検定です。

タクシーメーターなどの「計り」はその精度を保証するために、決められた期間毎に検定を受けなくてはならないことになっているのですが、タクシーメーターの場合にはこれが毎年必要です。

また、タクシーメーターの仮検定(予備検定)を受け、本検査場に出向いて本検査という流れですが、場所が限定されていることや、県によっては月に1日や2日程度しか開場していない検査場もあったりと、非常に手間や面倒がかかったりします。

これらの事由から、タクシーメーターを取り付けた上で開業はしたものの、実際にはメーターを使用する機会が少なく、メーターを使用しない設定(距離制運賃の廃止)に切り替えられる事業者さんも少なくありません。

一度、距離制運賃を廃止したとしても、また、再開をしたい場合には、運賃認可を受ければ良いだけなので、無駄にはなりませんが、開業後すぐに使用をやめるのであれば、最初から付けなくて良いのではないかとも考えてしまいます。

いずれにせよ、タクシーメーターを維持するためには多少のお金と手間がかかることを覚えておきましょう。

全ての車両に設置しなくてはなりません

介護タクシー車両を複数登録して運営する場合、または、最初は1台からの開業の場合でも後日、増車をする場合など、距離制運賃の認可を受けタクシーメーターを取り付ける際には、その全ての車両に設置する必要があります。

1台は取り付けて、1台は取り付けないということはできません。

複数の車両を動かしたいとお考えの事業者さんについては、将来の無駄な投資にも繋がりかねないので、良くご検討くださいね。

タクシーメーターって地味に奥深い

タクシーメーターを付けるか付けないかという単純な話と思いきや、運営を始めるとわかりますが、意外と奥が深いです。

そもそも運賃認可の制度自体がかなり奥深い。

新たに介護タクシー許可を受けて開業される方々にとっては悩ましい部分ですが、大枠でも内容を理解して、判断をいただきたいものですね。

ただ、開業後でも十分に変更手続きは取れますから、あんま硬くなりすぎませんように!

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